El camino a Ceu do Mapia
・・・マピアまでの道のり

1日目

 相変わらず窓の外はぼんやりした青の景色。バスは同じ速度で走り続ける。窓からの景色も、バスの中も、眠りにつく前と何も変わっていない。車内は相変わらず効き過ぎるクーラーのせいで肌寒い。

                     

 このバスに乗って何日たったか曖昧になってくる。二日目?三日目だったけか?そもそも朝なのか、夕方なのか、判然としない。水平線の上に浮かぶぼんやりした光も太陽のような気がするが、月と言われればそういう風にも見える。白夜のような風景の中、曖昧模糊とした頭のまま、リオで知り合った日本人からもらった文庫本の頁を繰るがいつの間にか眠りに落ちる。
 深夜、運転手の声に目を覚ます。乗客がぞろぞろとバスを降りる。明かりの無い密度の濃い闇の中にアマゾン川が横たわっていた。バスがそろそろとバージ船に乗り込む。続いて乗客がぞろぞろとそれに続く。やがて桟橋を絶たれたバージ船は小型ボートに押されてゆっくりと向こう岸を目指す。と言っても向こう岸が何処なのか、さっぱり見えない。暗闇に慣れた目をじいっと凝らしても見えないほど闇が濃い。バージ船が水を切る音とボートのモーター音だけが濃い闇に響き渡る。物音ひとつ立てないことがかえって、そこに確かに存在するジャングルの存在を際立たせる。木々の、動物たちの息吹を肌が感じている。アマゾンの奥へ分け入ってることを改めて感じた夜。


2日目

 前日と同じ青い景色が窓の外に広がる。いったい何十時間このバスに乗っただろう?昨晩見た夢は、畳の上に敷いた布団で寝る、という至ってシンプルなものだった。あー、手足を伸ばしてゆっくり寝たい。
 夜、23時にPort Belhoに到着。サンパウロを出発して50時間以上振りの乗り換え。その前のリオから数えると60時間が経っている。Rio Branco行きのバスは1時間後に出るという。考えたが、今から宿探しするよりも、先を急ぐことにした。


3日目

 朝8時にRio Brancoに到着。快晴。70時間ちかくバスに乗りっ放しでも、久しぶりの眩しい日差しから元気をもらってる気がする。疲れは無い。
 次の経由地Boca do Acreから先はネット環境も難しいだろうから、ネットカフェでメールチェックを済ます。Boca do Acre行きバスは昼過ぎに出発なので、それまでブラブラ街中を歩いてみるも、これといって見るものも無い。Acre州の州都ということで、役所関係の大きな建物があるのみ。
 今まで乗り継いできたバスは空調、トイレ付きの結構いいバス。Boca do Acre行きのバスはこれより一回り小さく、トイレも無ければ空調も無い。どころか、ドアは完全に閉まらないし、座席はレバーを引いてもいないのによっかかると後ろに倒れそうになる。それでも、日差しの中、真っ赤な土煙を立てながら風を切って走るこっちのオンボロバスの方が気持ちいい。窓を開け放ち、湿り気のあるジャングルの匂いを思い切り吸い込む。

 ←この子、テンガロンがやたら似合ってカッコよかったなぁ。

 西の空がピンクに染まる頃、バスはBoca do Acreに到着。リオデジャネイロを出発して80時間近いバスの旅もここでようやく終わり。ここからMapiaへはボートでしか行けない。ボートの桟橋前にあるホテルフローレスタにチェックイン。おぉ、4日振りのベッド!やっぱり寝るときは動かないベッドがいい。

                                         


4日目

 翌朝、ノックの音に目を覚ます。眠気眼でドアを開けると、見知らぬ兄ちゃん。前の晩、フロントに居たボート持ちのおっちゃんにMapiaまでの値段を聴くと、片道600リアル(2万円ちかく)という答えが返ってきた。んなアホな!今まで80時間ちかく載ってきたバス代全部足したって400リアルしないのに・・・。他にお客が見つかれば600リアルを客数で割るとのことなので、とりあえず待つことにしたのだ。
 その昨晩の話をどこかで聞きつけたのだろう。おっちゃんを出し抜いて、俺を客にしてしまおうという魂胆らしい。年は自分と同じか少し下くらいか。白人の血が濃いように見えるが英語はからきし。Mapiaまで450リアルで乗せていくという。ボートは毎日あるとも限らないと聞いているので、思わず飛びつきそうになったがぐぐっと気持ちを抑えて、ちょっと待て、と言い残し昨日のおっちゃんを探しに行く。案の定、おっちゃんはしぶった挙句400リアルに下げた。再び兄ちゃんのもとに戻り交渉したところ、350リアルまで下がったのでOKを出した。最初の言い値の半分ちかくまで下げたのだから、と思ったが、テキの方が一枚上手だったと後で知る。

 ともあれ、ボートは1時間後にMapiaに向けて出発。兄ちゃんと片言のポルトガル語で自己紹介を交わすと、この兄ちゃん、なんと名前がジャポンという。なんと紛らわしい!桟橋でボートの準備をしている間、いろんなやつがこの兄ちゃんに呼びかけるが、分かっちゃいても、「ジャポン!」と聞こえる度に振り返ってしまう。Mapia向けの荷物と往復の燃料を積み込み、ボートは勢いよく大きなアマゾン川へと滑り出した。
 川幅の広いところを一時間くらい走り、ボートは左手の支流に入った。ぐっと川幅が狭くなる。これくらいの川幅になると、日本でも良く見かけるので妙な親近感が沸く。その支流をぐんぐん遡る事、2時間、幾つかの支流や四つ角の交差点(川です)を越えて、川幅はどんどん狭くなる。時には倒れた巨木が川幅いっぱい塞いでいることもある。身を屈めてその下をくぐる。時には勢いをつけて、たゆたう倒木の上を乗り越えたりもする。

 そんな悪路、(というか悪川)を進むこと3時間、ボートはスピードを緩めながら河岸に近づいた。茂みの奥に小屋がある。人が住んでいるようだ。ジャポンは荷物の中から小さな包みを持って小屋に入って行った。ほどなく、彼は戻って来て、僕に巻きタバコを2本差し出した。小屋の住人に貰ったものだと言う。半年以上、止めていたけど久しぶりに吸ってみたくなった。この辺りではコミュニケーションのツールにもなっていると聞く。日本でいうと酒の席のお酌みたいなもんか?むげに断るのも失礼に当たるかもしれない。走り出したボートの上で、風に何本もマッチをふき消されながらも、どうにか煙草に火をつける。フィルターなんかもちろんない。素朴な草の風味がそのまま口の中に広がる。んんんん、久しぶりの煙の感触。悪くないねぇ。


                   

 


      んんんん・・・。んん、ん?なんだか・・・。おかしいぞ・・・。


 目の前の風景がセピア調になったり、ゆっくり動くように見えた景色が突然猛スピードで流れ去ったり・・・。おんや?煙草に巻かれてたのは煙草だけではなかったか・・・。
それからが大変。ボートは川幅の狭い、しかもヘアピンが続く川を猛スピードでぎゅんぎゅん進んでいく。コーナーを抜けるたび、緑の景色が後方に引きちぎられていく。太陽はギラギラと視界の隅でハレーションを起こす。ちょーハイ。サントダイミーの聖なる地に向かうのに、こんな不謹慎な状態でよいのだろうか?なんて考える余裕はこれっぽっちもない。コーナーを抜ける時に外側の足に力を込めて、まるで水上スキーをやってるかのような気分になってくる。スピードと引きちぎられる景色とハレーションで段々恍惚となってくる。
 どれくらいの間、そうやって走っていたのか分からないが、顔に当たる雨粒で我に戻った。スコールだ。積み込んだ村の荷物と自分のバックパックをビニールシートで覆い、ついでに自分もビニールシートに潜り込んだ。青いビニールシートの表面を大粒の雨が叩く叩く。モーターの音が掻き消されてしまうほど。水面を走るボートの上でビニールシートに覆われてじっとしていると、よからぬ想像が頭をよぎる。なんか死体みたい、おれ。一度、ネガティブなイメージを浮かべてしまうと、もう止まらない。さっきまでの揺れ戻しだ。
 ジャポン、実は道(川)に迷っているんじゃ・・・?
 ジャポンが実は追剥だったら・・・?
 こんなアマゾンの奥深くで襲われたら誰が気づく・・・?
 あぁ・・・。もう駄目。恐怖の連鎖が止まらない。

 「おい!着いたぞ!」突然声をかけられ、最初、何のことだか把握できなった。いつしか雨は弱まっていた。恐る恐るシートから頭をもたげると・・・、!雨霧に煙るジャングルのそこかしこに家が見える!色とりどりの花たちがそこいらじゅうで咲き乱れている!しばし幻想的な景色にボーゼンとした後でようやく気がついた。タキワシのセッションで見た理想郷のイメージと同じ景色が眼前に広がっていることに。




Gastos de viaje

(ida)
Rio de Janeiro → Sao Pauro (Autobus) : 44.1 R$ (6hrs)
Sao Pauro → Port Velho (Autobus) : 271.86 R$ (50hrs)
Port Velho → Rio Branco (Autobus) : 43.0 R$ (8hrs)
Rio Branco → Boca do Acre (Autobus) : 24.0 R$ (8hrs)
Boca do Acre → Ceu do Mapia (bote) : 350.0 R$ (5hrs)

(vuelta)
Ceu do Mapia → Boca do Acre (bote) : 60.0 R$ (10hrs)
Boca do Acre → Rio Branco (Autobus) : 24.0 R$ (8hrs)
Rio Branco → Sao Pauro (Avion) : 1,300 R$ (8hrs)

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